11月は「過労死等防止啓発月間」です。厚生労働省は2026年10月8日、今年度の取組を発表しました。11月1日から30日には「過重労働解消キャンペーン」も実施されます。[1][2]
年末に向けた業務計画を考えるこの時期に、自社の働き方を点検してみませんか。本記事では、経営者・人事労務担当者が確認したい点を、産業保健の視点から整理します。
今回の取組と事業者への影響
月間中は、啓発活動に加え、長時間労働が疑われる事業場への重点監督などが行われます。[1] ただし、対策は11月だけ行えばよいものではありません。毎月の勤怠確認と健康相談を、日常の業務として続けることが大切です。
例えば、残業の多い従業員が毎月同じであれば、本人への声かけに加えて、担当業務や納期、代替要員の有無を確認する必要があります。これは本事務所からの実務上の提案であり、キャンペーンによって新たな一律の手順が義務づけられるという意味ではありません。
今すぐ確認したい5つの項目
1.労働時間を把握する担当者と確認日を決める
勤怠の集計結果を誰が、いつ確認するかを決めましょう。月末の集計に加えて、月の途中で残業が増えている人を確認できると、業務調整の相談につなげやすくなります。
実務上の点検例として、勤怠記録と実際の勤務にずれがないか、持ち帰り業務が把握されているか、管理者だけが実情を抱え込んでいないかを確認してみてください。
2.長時間労働者を医師につなぐ手順を確認する
一般の労働者については、時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められ、本人から申出があった場合、医師による面接指導の対象となります。対象時間は、週40時間を超えた労働時間を基準として算定します。対象者への時間情報の通知や申出窓口の周知も確認しましょう。[3][4]
研究開発業務従事者、高度プロフェッショナル制度適用者、医師などには別の要件があるため、個別に確認が必要です。[3] また、80時間は「ここまでは健康上問題がない」という目安ではありません。時間数だけで判断せず、健康上の不安がある場合は早めに医師へ相談できる運用を整えましょう。
3.相談先を従業員が使える形で伝える
「相談してください」という案内だけでなく、担当者名、連絡方法、面談を希望するときの手順を具体的に伝えましょう。
本事務所では、相談窓口を社内で案内する際に、誰にどの情報が共有されるのかも説明する運用を提案しています。管理職が必要とする業務調整の情報と、本人の詳しい健康情報は、共有目的を整理して取り扱うことが大切です。
4.残業が増える原因を業務単位で見直す
実務上の点検例として、次の点を管理職と話し合ってみましょう。
- 特定の従業員にしかできない仕事が集中していないか
- 納期や受注量に対して、要員や作業時間が見合っているか
- 会議、報告書、承認作業を減らせる余地がないか
- 休暇や欠勤が出ても対応できる分担になっているか
対策ごとに担当者と見直す日を決めると、実施後の変化を確認しやすくなります。
5.面談後の業務調整を振り返る
医師との面談を設定するだけで終わらず、助言を踏まえて何を検討したか、実際に業務を調整できたかを振り返る機会を設けましょう。
本事務所からは、「対応した日」「担当者」「次に確認する日」を管理する方法を提案します。記録には必要な事項を絞り、従業員の詳しい病状を社内で広く共有することは避けてください。
50人未満の事業場でも相談体制の確認を
産業医の選任義務がない50人未満の事業場にも、長時間労働者への面接指導制度は適用されます。小規模事業場では、地域産業保健センターの支援を活用できます。利用条件や予約方法は、所在地を担当する窓口へ確認してください。[5]
外部の支援先が決まっていても、社内で誰が連絡するかが決まっていなければ、対応が遅れることがあります。経営者と担当者の間で、連絡窓口と相談までの流れを共有しておきましょう。
継続的な体制づくりについては、従業員50人未満の事業者向け産業保健顧問もご覧ください。
本事務所へのご相談
本事務所では、長時間労働者への面接指導、メンタルヘルス対策、職場巡視、労働衛生教育などを通じて、事業場の状況に応じた支援を行います。
「面接指導を依頼する医師を確保したい」「勤怠確認から健康相談までの流れを整えたい」といった課題をご相談ください。業務内容はサービス内容でご案内しています。初回のご相談では、従業員の実名や詳しい健康情報を送らず、事業場の規模と相談したい内容をお知らせください。
参考資料
- 厚生労働省「11月は『過労死等防止啓発月間』です」(2026年10月8日発表)
- 厚生労働省「過重労働解消キャンペーン」(2026年度)
- 厚生労働省「長時間労働者への医師による面接指導制度」
- 厚生労働省「こころの耳Q&A」
- 労働者健康安全機構「地域窓口(地域産業保健センター)」
※2026年10月28日時点で確認した情報です。制度の説明と本事務所からの実務上の提案を区別して記載しています。個別の適用要件や対応は、事業場の状況に応じて確認してください。
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